苔寺(京都・西芳寺)のコケ

「苔寺」として有名な京都の西芳寺。

庭一面をおおいつくす苔(コケ)。

しかし、苔寺の庭には

もともと苔はなかったそうです。

「奇跡の庭 京都・苔寺」(NHK)という

テレビ番組が元旦に放送されました。

奈良時代、行基の開創と伝えられる古刹。

兵乱により荒廃したが、

室町時代の初期、夢窓国師が招かれ復興。

庭は初期の禅宗庭園で、

上の枯山水と、下の池泉回遊式のふたつ。

黄金池は「心」の字を描いているとのこと。

夢窓国師の最高傑作ともいわれています。

庭園には楼閣や仏殿を建て、

池の島には白砂を敷き詰めたといいます。

現在からは想像もつかない庭の姿でした。

苔(コケ)が庭に繁茂してきたのは

江戸の中期ごろからだそうです。

境内には120種類以上の苔が自生しています。

多くの苔が自生する理由は、

庭園をおおう木々が蓋になって

湿気を逃さずに保っていること。

樹木が直射日光をさえぎり、木漏れ日があたる。

また、一日の中でも光が変化し

長時間、太陽の光を強くあびる場所がないこと。

つまり、適度な湿度と日当たり(半日陰)により

多くの苔が育ったのだということです。

池や石、起伏のある地形など

庭園の環境もコケの種類を増やしている理由。

岩の上には乾燥に強いハイゴケ。

水がたまりやすくじめじめした窪地にはジャゴケ。

杉の根もとにはシラガゴケ、

ホソバオキナゴケなどシラガゴケ科のコケは

酸性度の高い針葉樹の根元がお気に入り。

池のきわには水辺を好むミズゴケ。

それぞれの環境で

さまざまな苔(コケ)が育っています。

また、おなじ環境を好むコケのせめぎあいが

こけ独特の濃淡を生み

さまさざなコケがおりなす多様な

緑の景観をつくっています。

数百年間、僧侶たちが続けてきた

苔(コケ)の庭の掃除。

竹ほうきで落ち葉をひたすら掃き清める。

掃き掃除は自らの心をみがくこと。

禅の修行でもあります。

僧侶が掃除をして、落ち葉を掃いて

苔(コケ)を守ってきたのです。

苔は日差しや雨など天候の変化や

季節によっても色合いや勢いを変えながら、

様々な表情をみせてくれます。

緑の苔の絨毯ともみじの紅葉。

紅葉に夢中になった

時の権力者、足利義政でも

見ることができなかった景色なのです。