街道をゆく32・苔やシダ

『街道をゆく32』は阿波と紀ノ川流域。

苔(コケ)やシダ(羊歯)が登場します。

 

まずひとつめの苔。

 

「阿波紀行 地獄の釜」より

「境域には古い墓石が多く、

細川氏のあとの阿波のぬしである

三好氏の墓碑がいくつかむしていた。」

 

境域とは勝瑞城(しょうずいじょう)跡

細川殿の阿波屋形ともいわれた平城跡で

今は国の史跡に指定されているようです。

 

次はコケやシダ。

 

「紀ノ川流域 鶴の渓」より

「天守閣への長い坂をのぼった。

一歩ずつ石垣が楽しめるのがいい。

コケシダがはえ、石垣そのものが

蘚苔類の植物園のようになっている。」

 

和歌山城の古い石垣で

浅野家当主が鶴を放ち飼いしていたという

「鶴の渓(たに)」と呼ばれる一郭。

 

司馬さんお気に入りの場所だそうです。

 

そしてまた苔と羊歯。

 

「紀ノ川流域 森の神々」より

羊歯を装った古槙が

老酋のような威厳をみせている。」

 

「何百年のにまみれた老樹であっても、

季節になればさかんに若葉を吹きだす。」

 

「森の中に、

そういう神々の宮居が、八十余もある。

いずれも小さく、すべてむしている。」

 

この森とは「にちぜんぐう」とよばれる

日前(ひのくま)・國懸(くにかかす)

神宮の境域です。

 

日本で最も歴史のある神社の一つ。

 

司馬さんはこの境域が好きで

和歌山市にくるたびに

ここを訪れたそうです。

 

 

今日は庭の日だとか。

ツツジの花が咲いています。

もうすぐ五月・皐月ですね。

 

 

『街道をゆく』司馬遼太郎
32・阿波紀行・紀ノ川流域